尿路結石症
ーはじめに
尿路結石は、尿路つまり腎、尿管、膀胱、尿道に存在する結石のことをいいます。結石とは、いろいろな成分のものがありますが、一般的に存在するよく似たものとしては、岩塩などを考えていただくとよいかと思います。実際は、結石の構成物質は異なりますが、あくまでひとつのイメージです。悪性腫瘍などと異なりその人の一生を左右することは、少ない疾患ですが、わりと働いている世代に発症することが多く、痛みなどの症状が強い場合が多いため注目度は高い疾患かもしれません。
ー 診断
1.症状
症状は、腎結石の場合無症状であることが多く、他の疾患で検査をした時に、超音波やCTで偶然発見されることが多いです。尿管結石の場合は、腎仙痛といってきわめて強い右か左に偏った背部痛、腹痛が代表的な症状です。これは、結石が動くときにその部位が痛いわけではなく、結石が、尿管に嵌ってしまって、尿が流れなくなることにより腎や尿管が張ってきて、痛みを感じるというのが、痛みの発症メカニズムです。血尿も症状としてある場合がありますが、頻度的には少なく尿管結石や腎結石による血尿と決め付けることなく膀胱がんなどの検査をすることが重要です。
2.検査
尿路結石が疑われた場合、レントゲン検査と超音波検査、尿検査が一般的におこなわれます。レントゲン検査は、KUBといわれる、腎、尿管、膀胱の位置を撮影した単純撮影とCTがあります。最近のCTであれば、ほぼ100%の診断ができます。単純撮影はそれだけでは、確定診断にはいたらず、スクリーニングの意味合いしかありません。CTは、診断には非常に有用ですが、被ばく線量が多くたびたびする検査ではありません。超音波検査は、腎の状態や結石そのものを診断するために用いられますが、施行者により発見率は大きな差があり、客観性にはやや劣る面があります。ただ被爆もなく副作用がありませんので多くの超音波にかかわる人たちの技術が上がると患者さんは、助かると思います。尿検査は、血尿があるかどうかを見ますが、血尿のない尿路結石もあるため診断の一助になる程度です。また尿路感染を合併しているかどうかの判断にも役立ちます。
ー 治療
結石の部位、大きさ、症状の有無、などで治療方針は決定されます。結石があるからすべてこれを体内から除去しなければならないと言うわけではありません。腎結石だけに関しても3mm 程度の小さなものから6cm を超える大きな結石まであり、これらを同一の疾患として治療を考えることはできません。治療をするためには、何らかの副作用は必ずありますのでそれを上回る効果の得られるものしか治療の対象にはならないと言うことです。基本的には緊急手術になることはない疾患ですが、腎盂腎炎を併発した場合は、急激に全身的な疾患(命にかかわる状態)に変化する場合がありますので注意を要し、緊急の処置が必要な場合があります。以下に治療法を羅列しますので個々の症例に関しましては、担当医とよく相談され決められたらよろしいと思います。治療方針は、ガイドラインが作成されており、それをもとにその施設の治療成績も加味して担当医は説明します。
1.経過観察
小さな腎結石で無症状のものは、経過観察します。症状があっても小さな尿管結石の場合は、自然に体外に排石されることが多いため経過観察をします。一応の基準ですが、5mm とか7mmがひとつの基準になっているようです。もちろん尿管結石で長期に排石しないものや、頻回の痛みを伴うものや尿路感染症を合併し高熱のあるものは、治療の対象になります。
2.体外衝撃波結石破砕術
体の外から衝撃波を結石に集め結石を小さくして自然排石させようと言うものです。外来での治療が可能であり割りと簡単にできるため現在治療法として最もやられている方法です。ただ、すべての結石がこの方法で治癒するわけではありませんので、患者さんとの話し合いの中で決めていきます。
3.内視鏡手術
尿道から細い内視鏡をいれ尿管または腎の結石のある場所まで到達しレーザーなどの砕石装置で結石を砕石していきます。内視鏡の進歩、砕石装置の進歩により近年増加している術式です。 また、腎に小さな穴を開け結石を砕石、摘除する方法もあります。こちらは、腎の大きな結石に対しておこなわれることが多い手術です。多くの結石を短時間に体外に出すことができますが、腎に穴を開けることによる出血のリスクもあり治療法の選択は、患者さんと相談の上と言うことになります。