教授挨拶
泌尿器科のホームページにようこそお越しくださいました。
私ども久留米大学医学部泌尿器科学講座は泌尿器科として独立開講後70年を超える歴史を刻む伝統ある教室です。1954年初代重松 俊教授、1972年第2代江藤耕作教授、1991年第3代野田進士教授、2003年第4代松岡 啓教授と引き継がれ、2014年から私、井川が第5代として教室を主宰させていただいております。ここ10年間の泌尿器科学を振り返りながら、ごあいさつを申し上げます。
着任当初、「これからの10年、泌尿器科疾患の診断・治療はさらに深化していくでしょう。」と書かせていただきましたが、まさにこの10年間で泌尿器科学の分野はこれまでになく飛躍的に進歩したと言えます。特に泌尿器癌治療の分野では進行性前立腺癌に対する新規薬物療法が実臨床で本格的に用いられるようになったのを皮切りに、腎癌や尿路上皮癌に対する免疫チェックポイント阻害薬、最近では抗体薬物複合体の登場など、これまで全く歯が立たなかった進行癌でも、少なからずの症例で完全寛解が得られるまで治療成績は驚くほど向上しています。そして診断・治療でのもう1つの大きな出来事はゲノム医療の臨床への実装です。BRCA変異陽性の去勢抵抗性前立腺癌に対するPARP阻害薬はその最たるものの1つです。このゲノム医療分野は今後数年のうちにさらに急速に進歩していくことは間違いないでしょう。手術治療も大きく進歩しました。言うまでもありませんが、ロボット支援手術はもはや市民権を得、今や泌尿器癌の標準手術のほとんどがロボット支援下に行われるようになり、その適用範囲は良性疾患を含めさらに拡大を続けています。医療機器やデバイスの進化も目覚ましく、Endourologyの領域も、より確実・低侵襲な治療が可能になりました。このようにこの10年間で臨床分野において次々と素晴らしい変化がもたらされた一方で、基礎・臨床研究や卒前・卒後教育もそれに呼応してこれまで以上に考え方や在り方の再考が求められ、こちらもまた日々進歩を遂げています。またそれに加え医師の働き方改革等々医師を取り巻く社会環境も時々刻々変わってきています。これらのすべてを完璧にこなすのはなかなか困難な時代になってきました。しかし一貫していえることは、泌尿器科学は多岐にわたる疾患領域をカバーするとともに、基礎から臨床、そして内科的治療から最先端の医療技術を駆使した外科治療までを幅広く担う非常に魅力ある診療科であるということです。私ども久留米大学泌尿器科では泌尿器科全般に加え、それぞれ得意とするサブスペシャルティーに注力しながら常にアップデートを行い、自由闊達な雰囲気の中で協同して新しい領域にもチャレンジしています。そしてそこには熱意のある若い泌尿器科医の力が是非必要です。一人でも多くの医学生や若手医師が泌尿器科学に興味を持って我々の教室を訪れてくれることを期待しています。
最後になりましたが、我々の使命は、まず地域の皆様に最善・最新の医療を安全にお届けすることに他なりません。教室員一同、「仁」の心を持ち一丸となって取り組んでまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
2025年4月1日
井川教授略歴
1964年 2月 | 長崎県長崎市生まれ |
1982年 3月 | 久留米大学附設高等学校卒業 |
1988年 3月 | 長崎大学医学部 卒業 |
1988年 6月 | 長崎大学医学部 泌尿器科 入局 |
1994年 3月 | 長崎大学大学院医学研究科卒業 |
1997年 6月 | 長崎大学医学部泌尿器科 助手 |
2008年 2月 | 長崎大学医学部泌尿器科 講師 |
2009年 10月 | 長崎大学医学部 泌尿器科 准教授 |
2014年 4月 | 久留米大学医学部 泌尿器科 教授 |
責任者・指導医
責任者 | 井川 掌 |
医師数 | 38名 |
日本泌尿器科学会 専門医 | 24名 |
各専門医・指導医数 | 指導医 : 15名 泌尿器腹腔鏡技術認定医 : 3名 日本レーザー医学会 専門医 : 1名 日本がん治療認定医機構 暫定教育医 : 1名 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 : 8名 日本腎臓学会 専門医 : 1名 日本透析医学会 認定医 : 1名 日本内分泌外科学会 内分泌・甲状腺外科専門医 : 1名 |
泌尿器科は主に腎・尿路系臓器および男性生殖器疾患の 診断・治療を行う診療分野です。
その診療方法や対象疾患の範囲は非常に多岐にわたるのが大きな特徴のひとつです。
教室沿革
1928年3月 | 九州医学専門学校創立 |
1928年8月 | 皮膚泌尿器科学講座開設 初代教授 布施四郎 教授就任 |
1947年9月 | 第2代教授 樋口謙太郎 教授就任 |
1949年1月 | 第3代教授 重松 俊 教授就任 |
1953年12月 | 教室が皮膚科と泌尿器科に分離独立 重松教授が泌尿器科学講座初代教授として就任 |
1972年5月 | 第2代教授 江藤耕作 教授就任 |
1991年4月 | 第3代教授 野田進士 教授就任 |
2003年3月 | 第4代教授 松岡 啓 教授就任 |
2014年4月 | 第5代教授 井川 掌 教授就任 |