- ーはじめに
- 最近、マスコミ等を通じて男性にも女性に類似した更年期障害が存在する事が広く知られて来 ました。しかし、男性における症状は女性に比べ、徐々に進行し、さらに症状も多彩なため、患者さん本人も気がつかない事も多いようです。最近、イライラ、抑うつ、不眠、あるいは発汗、疲労、ほてりなどの症状が持続している人は一度男性更年期障害も疑ってみる必要があります。
- ー 症状
- 男性更年期症状は大きく精神症状と身体症状の2つに分類されます。
1) 精神症状としては「イライラ、うつ、不眠、不安、気力の低下、性欲の減退など」
2) 身体的症状としては「疲労、発汗、ほてり、めまい、耳鳴り、筋力の低下など」
があり、うつ病と重複する面も多くこの事が診療上混乱を来す原因ともなっているのかも知れません。
- ー 診断
- (1) 客観的に症状を評価する方法として質問表による問診が広く行われています。
- (2) 男性ホルモン値(総テストステロン、遊離型テストステロン)
- 本邦では一般的に遊離型テストステロン値が8.5pg/ml以下をホルモン補充療法の適応としています。
- (3) うつ病の合併についてのチェック
- 問診にてうつ病の疑いが強い場合はまず専門医へ紹介します。
- (4) その他
- 下垂体機能、睡眠時無呼吸症、前立腺癌の有無などのチェック
- ー 治療
- 男性ホルモン補充療法は保険適応外疾患のため原則自由診療となります。 実際のホルモン補充療法として、現在当院では男性ホルモン剤注射、性腺刺激ホルモン剤注射、男性ホルモン剤軟膏の3種類の薬剤を症状に合わせて使用しています。 ただし、前立腺癌の疑いのある方、睡眠時無呼吸発作のある方、高度の多血症や肝機能異常のある方は投与ができませんのでご注意下さい。