尿路感染症
ー急性膀胱炎
排尿するときや終わった後に痛む(排尿時痛)、排尿した後でもすぐにトイレに行きたくなる(残尿感、頻尿)といった症状があります。単純性膀胱炎の起炎菌は大腸菌が多く 治療はセフェム内服、レボフロキサシン内服などを行います。
ー慢性膀胱炎
膀胱炎が再発を繰り返し、半年に数回もおこるようだと慢性化が疑われます。
原因疾患(膀胱癌、結石、子宮癌や直腸癌の膀胱浸潤など)を検査する必要があります。
治療としては抗生剤の内服が必要ですが、抗生剤が効きにくい(耐性菌)が発生している可能性あり専門医で診察を受けましょう。
ー間質性膀胱炎
下腹部痛、頻尿、残尿感、排尿時痛などの症状あり
急性膀胱炎と違い尿に細菌を認めない膀胱のアレルギー性病変と言われています。
治療は水圧拡張、抗アレルギー薬の投与、膀胱内注入療法(キシロカイン、DMSO)などを行います。
ー急性腎盂腎炎
38度以上の発熱、背部痛などの症状あり 単純性腎盂腎炎の起炎菌は大腸菌が多い 治療はニューキノロン系の内服、ペニシリン系やセフェム系の注射などを行います。
ー結石性腎盂腎炎(閉塞性腎盂腎炎)
結石が尿管にカントンし腎臓に水がたまり炎症を併発する感染症です。 糖尿病をお持ちの方やご高齢者などに多く38度以上の発熱、背部痛などの症状あり、すぐにショック状態に陥ることもある。場合によっては腎臓に貯まった水を尿管にカテーテルを挿入し貯まった水を排出し抗生剤による加療が必要です。
ー急性前立腺炎
頻尿、排尿時痛、残尿感などの症状あり38度以上の発熱を伴います。 起炎菌は大腸菌が多い 原因としては前立腺肥大症などに伴う排尿困難により感染を併発することが多い 治療はニューキノロン系の内服、ペニシリン系やセフェム系の注射などを行います。
ー慢性前立腺炎
下腹部および陰嚢と肛門の間の不快感、鈍痛および排尿時の違和感などの症状あり 排尿時痛、頻尿、残尿感などの排尿症状もある。 肛門から指を入れて前立腺マッサージ後、前立腺液を採取し細菌性、非細菌性、前立腺痛(プロスタディニア)3タイプに分類される。慢性細菌性前立腺炎、非細菌性前立腺炎では、まず2週間~1ヶ月程度抗生物質を内服します。前立腺痛のなかにはいろいろ基礎的な病態が含まれている可能性があります。骨盤腔内のうっ血が原因と考えられる症例の場合には消炎鎮痛剤、植物製剤、漢方薬の内服治療が有効です。精神的要因の関与の強い症例では、場合によっては心療内科の受診をお勧めすることもあります。
ー急性精巣上体炎
精巣の横の副睾丸(精巣上体)に尿の中の細菌が入り込み、そこで炎症を起こす病気が精巣上体炎です。前立腺肥大症、尿道狭窄、膀胱結石などの疾患があると、尿は汚れて細菌が増殖し、精巣上体炎を起こしやすくなります。高齢者に多く、大腸菌などの一般的な細菌が原因です。尿道炎の原因であるクラミジアや淋菌が精巣上体に至ることによって炎症を起こします。陰嚢痛み、38℃以上の発熱などの症状が認められます。ペニシリン系やセフェム系の注射、ニューキノロン系などの抗生剤の経口投与と、局所の安静、冷却を行います。
性感染症
ー淋菌感染症
淋菌(neisseria gonorrhoeae)による感染症 ほとんど性交あるいは性交類似行為によって感染する。 近年オーラルセックスによる増加も認める。 潜伏期2~7日後に排尿時痛、尿道からの黄色調の膿流出を認める。 15~30%にクラミジアとの混合感染を認める。 治療は抗生剤点滴(セフトリアキソン、セフォシジム)抗生剤筋肉注射(スペクチノマイシン)などを行います。
ークラミジア感染症
クラミジア(Chlamydia trachomatis)による感染症
2002年をピークに減少傾向
淋菌同様性行為および性行為類似行為によって感染する。
潜伏期1~3週間で発症、淋菌と比較し症状は軽いまた女性は無症状のことが多い
精巣上体炎や前立腺炎として症状が発生することあり
治療はアジスロマイシン、クラリスロマイシン、ミノサイクリン、レボフロキサシンな どの内服を行います。
ーヘルペス感染症
単純ヘルペスウィルス1型、または2型が病原体
性的接触2~10日後に陰茎や外陰部に水疱やびらんを形成する。
再発することも多い
治療は抗ウイルス薬(アシクロビル、パラシクロビル)の内服を行います。
ー尖型コンジローマ
ヒト乳頭腫ウィルス(HPV6または11型)を病原体とし陰茎、外陰部、肛門周囲に乳頭状、鶏冠状の外観を呈している。 治療は電気焼灼、凍結療法、イミキモド5%クリームの外用などを行います。
ー梅毒
梅毒トレポネーマによる慢性の全身感染症 ほとんど性交あるいは性交類似行為によって感染する。 下記の症状が起こる。
(第1期)
感染から3週間経過にて局所に小豆大~示指頭大の硬結が生じる(初期硬結) やがて初期硬結は中心に潰瘍形成し硬性下疳となる。
(第2期)
皮膚、粘膜の発疹や臓器梅毒の症状出現
(第3期)
感染後3年以上経過すると結節性梅毒疹や皮下組織にゴム腫が生じる。
(第4期)
大動脈炎、大動脈瘤、進行麻痺などの症状あり
第3、4期は現在ではほとんどみられない。 治療はペニシリン内服もしくは注射を行います。